子ども食堂設立ガイド

子ども食堂設立マニュアル

子ども食堂を始めるきっかけ
私たちNPO法人サステナブルネットは28年6月に浜松市で最初の子ども食堂を始めました。私たちの団体の活動は当事者によるひとり親家庭支援を目的に、さまざまな講座の開催をおこなってきました。教育費を考える講座、ひとり親が仕事を見つける講座、ひとり親家庭のPC講座など、数々の講座を企画しました。しかし、参加者は多くて10人少ないときは2人などで、もっとたくさん方々が参加していただける企画はないかと模索していました。あるとき、ひとり親家庭BBQを開催したところ、50名を越える家族が参加し、子ども達も親御さん達もお互いに自主的に交流し、意義あるイベントにできました。またそんなある日、ひとり親家庭支援の先駆者である、「NPO法人しんぐるまざーふぉーらむ」赤石理事長さんとお話の機会を持てたとき、東京では子ども食堂の活動が人気になっていると聞きました。
食べることは日常です。支援の場と日常の場と子どもの居場所が一緒になれば、ひとり親家庭の方々もきっと足を運んでくれると思い、子ども食堂を始める事に至りました。
29年7月には、開催回数50回を重ね、ボランティアを含む参加者延べ2000人を越え、現在に至ります。
なんの為に子ども食堂を始めるかどうかの動機は、その後の子ども食堂の利用者のカラーが決まる材料になります。いろんな動機があって、いろんな地域で、いろんな立場の対象者が利用される、多様性に富む活動が地域社会に必要です。そして、確かな動機は子ども食堂を続けていく原動力になります。
資金の調達
資金が先か活動が先か、社会活動を始める時はいつも悩ましい問題です。資金が無い状態で活動を始めるのは困難ですし、リスクを伴います。しかし活動を始めてから、その活動を知って寄付などの援助が増えていくこともしばしばあります。資金は後から着いてくることもあります。したがって最初は小さく初めて、資金が増えてきた時点で大きく育てると思えば、開始のハードルは高くありません。約40人~50人の食材費は肉などタンパク質を加えれば1回の開催で約6,000円から10,000円です。もっと提供人数を抑えて、予約制にすれば無駄な出費も抑えられます。予算に応じて、月に何回開催するかの検討が必要ですし、参加費は熟慮した上で決定してください。
また、民間の助成金、行政の補助金などの活用も検討すべきです。助成金・補助金は食材費や人件費が対象なのか、見極めて、使い勝手の良い助成金を獲得することが望ましいです。
*助成金、補助金で活動資金の確保。
*寄付金や食材を広く募る。 
募金箱作成 ホームページやSNSでの告知
開催場所
開催する場所決めは、活動資金の次に重要です。まず、公的施設の調理施設がある場所が候補に挙げられます。公民館や公会堂など地域に開かれたセンターなどです。これらの施設の利点は駐車場が確保されている事や地域住民なら誰でも知っている場所だからです。小学生が歩いて来られる場所なのか、中学生が自転車で来られて駐輪場があるのか、また親御さんが自動車で連れてこられて、尚且つ駐車場が完備されているかどうかは、立地条件で左右されます。どの年齢層、ご近所か広域か、対象者を想像して開催場所を決めることが重要です。
老人ホームに併設されているカフェを無料で貸し出してくれる事例もあり、子ども食堂の賛同者、協力者を広く募るなかで場所が決まる場合もあります。
*公民館、公会堂など公的施設
*老人ホームに併設されているカフェ
*飲食店の定休日
*地域のお寺など
開催回数
子ども食堂の開催回数は一般的なところで月1回、月に2回が多く、毎週開催するところもあります。団体の資金的な都合やボランティアが集まるかどうかを考慮の上、決定いたします。定期的に開催するとリピーターが増えますし、開催回数を増やせば利用者との信頼関係も深まります。
*月1回
*月2回
*週1回
開催日時
子ども達の空き時間を想定して決定してください。例えば平日の18時からの開催、一度学校から自宅に帰宅して来られる時間となれば18時~20時になります。また土曜日のお昼時や夕飯時の開催であれば、家族での参加が主になります。日曜日は、家族での用事ごと使われることが多く、子ども食堂の開催日にはあまり使われていません。ボランティアさんが参加していただける日時かどうかの判断も重要です。
*平日の18時~20時
*土曜日の12時~14時
*土曜日の18時~20時
提供人数
10人までの料理でしたら家庭でも可能ですし、5人前を2回つくると考えれば、想像の範疇になります。これが30人前になると大きな鍋が必要となり、鍋より大切なのは火力です。業務用の大きなバーナーのガスコンロが必要です。家庭用のバーナーであえて30人前用の鍋で湯を沸かしても、20分以上の時間がかかります。調理が進まないので、時間が足りなくなります。故に調理場の設備で提供人数が決まります。食事場所の席数も考慮に入れなければなりません。やらまいか子ども食堂では50人の参加者でカレーの場合お米40合炊きますので参考にしてください。
*10人
*30人
*60人
料金
子ども達に対する提供料金は無料の場合が多いですが、大人に対する料金は300円程の金額を徴収する子ども食堂が多いです。有料で料金を徴収する場合は注意が必要です。まず、地域の管轄の保健所でご相談ください。営業許可を取る必要が出てくる可能性があるからです。保健所の判断は行政区ごとに違います、300円だと材料費相当の実費と解釈して営業許可を必要としない場合もあります。
別な考え方として、子どもも大人も全て無料にし、カンパ制にして、参加者に寄付を募る方法があります。この場合、寄付金は利用者の任意ですので、金額は様々で安定はしません。しかし収益事業でないので課税の心配も無く、営業許可の必要性も少ないので安心です。
*子ども無料、大人は300円
*子どもも大人も無料、参加者に寄付を募る。
*保健所に相談
食品衛生管理
営業許可が必要で無くても、食品衛生管理は責任者に求められます。是非とも食品衛生責任者をひとり置くことをお勧めします。この資格は調理師、栄養士でもかまいませんが、食品衛生管理者講習を受けて終了証を得ることでもできます。費用は11,000円程、1日間の講習を必要とします。
衛生管理、スタッフはもちろんの事、ボランティアの皆さんに対しても指導・教育を徹底しなければなりません。やらまいか子ども食堂で使用している衛生マニュアルを参考にご紹介します。
*食品衛生管理者

スタッフ
子ども食堂のスタッフには運営責任者(食品衛生管理者も兼ねる)として1人、フォローするサブとして1人の計2人のスタッフの存在が望ましいです。このスタッフは有償として、責任の対価を明確にすべきです。全てのスタッフが無償ボランティアだと、回数が重なるにつれて、責任の所在が不明確になり、事故を誘発する原因ともなります。人件費の経費としての占める割合は高く、運営上厳しいですが、人件費が対象になる助成金などを活用して、責任が伴うスタッフには賃金を支給し、安全で持続できる運営を目指しましょう。
ボランティア
子ども食堂にて、ボランティアさんの存在は重要です。回数を重ねると毎回参加して頂けるコアメンバーのボランティアさんと、時々参加するボランティアさん、一回きりで終わるボランティアさん、みなさんが大切なボランティアです。できるだけスタッフの方が声をかけて、感謝の意を伝えると共に、能動的な活動ができる環境づくりを心がけましょう。
やまいか子ども食堂には毎回10人程のボランティアさんが参加してくれています。ボランティアは任意参加ですので、参加して楽しめる工夫をすることが大切です。
ボランティアスタンプカードなどでボランティアの価値を高める工夫を考えましょう。
メニュー
回数を重ねる程、悩ましくなるのがメニューです。大量調理ですので、料理が冷めてしまうことが多く鶏の唐揚げなどは冷めても子ども達に喜ばれます。揚げ物は面倒に見えますが、慣れてしまえば大量調理に適しています。そしてどんな野菜でも天ぷらにすれば美味しく食べられます。そして作りやすいのはやはり、カレーやシチュー系の量が調節できる食材です。大量に作るコツは水少なめから始める事、鍋に水を一杯にはってしまうと後でルーが足りなくなってしまうこともあります。塩加減も薄味から、少しずつ調節していきます。一度しょっぱくなった料理は元に戻せません。また季節の野菜をたくさん頂くことも度々出てきますので、もらい物の食材によってメニューを考えなければなりません。毎回同じような具材になってしまうところが悩みです。しかしコストを考えると豆腐やモヤシは何処でもスーパーで安く手に入る食材として重要ですし、豚肉・鶏肉はタンパク質として無視できません。また、サイドメニューやデザートに少しでも凝って作ればコストが跳ね上がります。気をつけたいのは生野菜を提供するときの衛生管理です。水道水にさらして野菜をきれいに洗い、生野菜用に準備したまな板と包丁を使い、調理用手袋を使用しカットします。盛り付けるときも手袋は必要です。
各種保険加入
日本では、子ども食堂でたとえ無償で料理を提供しても、利用者が食べて何らかの損害を被った場合、製造物責任法(PL法)によって損害賠償をおこなわないといけません。
そのために保険に入ることを強くお勧めいたします。食中毒に特化した保険・PL保険・NPO活動保険・イベント保険など、活動に合わせて加入してください。活動中の不慮の事故のためにも傷害保険も必要です。ボランティア保険など無償ボランティア活動に限って有効な安価な保険もありますので、ボランティア一人一人の加入もお勧めいたします。
*食中毒対応保険
*傷害保険
*ボランティア保険
アレルギー対応
学校給食ではアレルギー対応食を、通常とは別のブースで作ります。他の食材の混入を防ぐためです。子ども食堂にてこのような設備や対応ができるのならば別ですが、ほとんどの子ども食堂の環境では対応することは不可能だと思います。技術的にアレルギー対応食を作ることができない時は、チラシなどには「アレルギー対応食を作ることができません」としっかり告知することが大切です。更に利用者には参加名簿にてアレルギーの有る無しを問う事も必要です。
チラシ作成
子ども食堂開設の考えがまとまってきたならば、チラシを作り初めてください。
チラシで告知することによって、開設に向かっての心構えができます。
チラシは開催日1ヶ月前できれば2ヶ月前に作成しておけば、地域に配布することができ
開催日前にボランティアや食材が集まる可能性が高いです。
①【屋号】
② 特徴、アピールポイント
③ 開催日 時間  不定期の場合 不定期と記入し告知方法記入
④ 対象者 対象人数   人数の限定があれば記入
⑤ 参加費 子ども料金 大人料金
⑥ 申込み方法 予約が必要か 予約不要か
⑦ 駐車場の案内  台数
⑧ 会場住所
⑨ 問い合わせ先
⑩ 周辺地図
⑪ ボランティア募集告知
⑫ 食材提供の募集告知
⑬ 寄付金の募集告知

地域との連携
やらまいか子ども食堂を始める前に、近隣の小中学校の校長先生にお会いして、チラシの全校生徒への配布をお願いいたしました。中学校の校長先生が生徒をボランティアにという言葉を頂いて、その後3人の中学生が毎回ボランティアに参加してムードメーカーになっています。現在は5人の中学生がボランティアに参加し、食事の後は子ども達と一緒に遊んでくれています。地域との連携が子ども食堂の支えになります。利用者さんの相談には、スクールソーシャルワーカーの方にも手伝って頂くこともあります。地域の方々は子ども食堂の強い味方になってくれます。
*地域の小中学校
*自治会
*地区社会福祉協議会
*民生委員
*スクールソーシャルワーカー
*行政 福祉課 
*児童相談所 
広報
まだまだ、地域社会では子ども食堂の存在は知られていません。チラシやポスターはもちろんの事、のぼりも店頭では目立ちますので必要です。もちろん、開店時は地域の新聞に掲載を依頼いたします。
リピーターの方のクチコミも来客数を増やします。
*チラシ ポスター のぼり
*SNS
*地方新聞 ラジオ
*クチコミ
*イベント参加

記録・報告
来館者数の記録は、地域社会で効果を客観的に表す、指標として必要です。
来館する子ども達の名前は是非とも覚えたいですので、最初の来館には登録名簿に記入をお願いします。頂いた個人情報の扱いは大切にしなければなりません。
*登録者名簿
*参加者名簿 
*個人情報の管理
食材提供
子ども食堂を始めてからいろんな地域の方々より連絡を頂き、食材をご提供してもらっています。
農家さんの備蓄米を頂くことも多く、玄米の形で頂ければ保存も利くので、コイン精米を利用して精米しています。
全ての頂き物が鮮度管理が可能な食品や衛生状態に不安のない食品とは限りません。葉物の野菜は、夏場のクルマの移動だけで傷みますし、ジャガイモなどはソラニンという毒素があり、小さいサイズの時は注意が必要です。また賞味期限が近い商品も、期間内で消費できるかどうかの見極めが重要です。

*日持ちする根菜類の野菜
*フードバンク
*地域の農家
*社会福祉協議会
*地元食品メーカー
*地元精肉店
遊び場の確保
子ども食堂は食事の後の交流の場所が楽しみ。やらまいか子ども食堂では33畳の和室を借りて、おもっきり遊んでもらっています。子ども達は食事よりもそこで遊べる事を楽しみに来てくれます。食事前に学習ボランティアによる勉強会や無料持ち込みバザーで子ども服や婦人服を配ったりしています。子ども達が集まる場所には大人も集まり、善意も集まります。地域の子ども達を、子ども食堂を通じて見守る大人達が増えていく、それが一番素晴らしいことかもしれません。
各種保険加入
日本では、子ども食堂でたとえ無償で料理を提供しても、利用者が食べて何らかの損害を被った場合、製造物責任法(PL法)によって損害賠償をおこなわないといけません。
そのために保険に入ることを強くお勧めいたします。食中毒に特化した保険・PL保険・NPO活動保険・イベント保険など、活動に合わせて加入してください。活動中の不慮の事故のためにも傷害保険も必要です。ボランティア保険など無償ボランティア活動に限って有効な安価な保険もありますので、ボランティア一人一人の加入もお勧めいたします。
*食中毒対応保険
*傷害保険
*ボランティア保険